第 20 体 鵜飼いの提灯 (うかいのちょうちん)

岐阜県 / 図鑑番号 020 / 公開 2026-05-09

出身地

岐阜県全域。 特に岐阜市の長良川の川面、 関市の刃物の工房の朝、 飛騨高山の古い町並みの夕暮れ、 郡上八幡の踊りの夜、 そして馬籠と妻籠の中山道の宿場の灯。

姿

体は大人の握り拳ほどの小さな提灯。 中の灯は橙色で、 鵜匠の藁の靴の影と同じ色。 提灯の表に「飼」 の漢字がうっすら浮かぶが、 角度を変えると消える。 動く時は川の流れと逆方向に、 ゆっくり浮上する。

特技

出る時と場所

時刻は夏の夕暮れの 18 時 47 分から 21 時 33 分の間 (鵜飼いの船の漁の時間帯)、 そして冬の朝の刃物の工房の 4 時 22 分から 5 時 48 分の間。 場所は長良川の岐阜公園の川岸、 関市の刃物の工房の鍛冶場の煙突の影、 飛騨高山の古い町並みの軒下の提灯の脇、 そして郡上八幡の踊りの輪の中心。

仲良くなる方法

長良川の鵜飼いの船を岸から眺める時、 船の上の鵜匠と鵜たちに「ありがとう、 1 千年以上続けてくれて」 と心で 1 言伝える。 鵜飼いの提灯は、 川面の波紋の中央に小さな橙色の影として浮かんで、 5 秒だけそこに留まる。

船が遠ざかった後、 提灯は岸に向かってゆっくり浮上して、 あなたの靴のすぐ前で止まる。 「気をつけて帰ってね」 と心で言うと、 提灯は橙色の灯を 1 段だけ強くして、 帰り道の街灯に同期して消える。 翌朝、 起きた時に、 暗い廊下を歩く 1 歩目の不安が 1 段だけ薄れている。

ひとこと物語

鵜飼いの提灯は、 1300 年以上続く長良川の鵜飼いの伝統と、 関の刃物の職人の手の温度と、 飛騨と美濃の山々の中の人の暮らしの灯火が、 何百年もの間に集まってできた。

提灯は、 自分が小さくて橙色であることを誇っている。 「派手な祭りの提灯ではない、 暗い水の上で漁を照らすだけの灯。 大きな光は要らない、 鵜が魚を見つけられるだけの光があればいい」 と提灯は知っている。

冬の鵜飼いの休みの期間 (10月から5月) は、 提灯は関の刃物の工房の鍛冶場の煙突の中で、 職人の朝の最初の火と一緒に少しだけ呼吸する。 翌年の鵜飼いの初日 (5月11日) の夜に、 また長良川の川面に浮上する。