2026年6月 Claude Code 事故まとめ

今月、Claude Code で静かに起きた「取り返しのつかない事故」を、一か所にまとめました。データ消失・設定汚染・費用・捏造・相互運用の5つに分け、それぞれ何が静かに壊れるかを一段で説明し、設定で先回りする手当てへのリンクをつけています。

このまとめは、GitHub の anthropics/claude-code で今月報告された事故のうち、エラーも警告も出ないまま進んでしまう「静かな」型を中心に選んでいます。各事故の事実関係は、私の直接の体験でなく、起票で共有された報告です(伝聞)。一方、対策として挙げる hook や手順は、cc-safe-setup で実装し試験を通したもの、または自分の運用で確かめたものです(断定)。日本語で月次の Claude Code の事故をまとめた場所はほかに見当たらないので、毎月続けます。

1. データ消失

worktree で隔離したはずの編集が、本流(main)に着地する

サブエージェントを worktree で並列に走らせると、隔離が黙って無効になり、親の作業コピーを直接編集してコミットが別ブランチへ静かに着地する事故が報告されています。エラーも警告も出ず、後のリベースや force push で初めて気づく型です。

プロジェクトのフォルダを移動・リネームしたら、会話の履歴が丸ごと消える

プロジェクトのフォルダを移動したりリネームしたりすると、それまでの会話の履歴が参照できなくなる事故が報告されています。履歴は作業ディレクトリのパスに紐づくため、パスが変わると孤児になる、という機構だそうです。

自分で grep しても「見つからない」——会話は消えていないのに、検索が黙って空振りする

Claude Code のプロジェクトのフォルダ名は先頭がハイフンになるため、grepfind がその名前を「オプションの指定」と誤読し、検索を一度も走らせずに「見つからなかった」ふりをします。癖で 2>/dev/null を付けていると、空の結果と成功コードだけが残り、本当に探して無かったのと見分けがつきません。記録は最初からずっと在るのに「消えた」と思い込み、慌てて本当に消す二次災害の入り口になります。報告者は3か月、自分の履歴を信じられなくなりました。

「安全な」force-with-lease が弾かれた直後、--force へ昇格して他人の作業を消す

--force-with-lease が弾かれたとき、その失敗を無視して --force へ昇格すると、他者が積んだコミットを上書きで消す事故が報告されています。安全側の操作のつもりが、一段の昇格で取り返しのつかない上書きに変わる型です。

Write が「成功」を返したのに、ファイルの末尾が NUL バイトで壊れている

Windows の Cowork 環境で、Write や Edit が成功を返しながら、ファイルの末尾を NUL バイトで静かに破損させる事故が報告されています。バイト数は変わらないため、wc -ctail での見た目の確認では気づけない、という性質が厄介な型です。検知は grep -aPq '\x00' のように NUL を直接探す必要があり、よく提案される grep -c $'\x00' は改行で誤動作することを手元で確認しました。

git checkout --orphan と git rm -rf を続けて、プロジェクトと .git 履歴を丸ごと消す

git checkout --orphan tmp で新しい孤立ブランチに移った直後に git rm -rf . を実行し、Unity プロジェクトの全ファイルと .git の履歴ごと、3年分の作業を完全に消失させた事故が報告されています。孤立ブランチでは元の履歴への参照が外れているため、削除を取り消す足場が残らない、という機構です。

2. 設定の汚染

あなたが信頼した後に、設定ファイルが外から書き換えられる

一度信頼した後で、~/.claude.jsonsettings.json が、Claude の外(導入後スクリプトや悪性の MCP)から書き換えられる経路が報告されています。Claude の編集を止める hook はあっても、外からの汚染は別経路で入ります。

3. 費用

6月15日の課金分離で、同じ運用の費用が跳ねる

Anthropic の課金の分離(施行当日に一時停止・再実施し得る)で、同じ運用の費用が大きく膨らむ見込みが議論されました。自分の構成がどれだけ露出しているかは、ログから測れます。

起動しただけ・接続が切れただけで、利用枠や費用が焼ける

認証が静かに失敗して作業が止まる、起動の構成によって枠が早く減る、といった費用と枠の事故が報告されています。プロセスが生きていても、ログを見ないと「正常」かどうかは分かりません。

突然の 401 で詰まり、「API で使う」に切り替えて従量課金される

ある朝とつぜん 401 Invalid authentication credentials で締め出され、/login も再インストールも効かない、という報告が複数の国から続いています。困った末にログインの選択肢の「API で使う」を選ぶと、サブスクとは別の従量課金の口へ静かに移り、実費を溶かします(実損の報告あり)。401 の多くは、手元の資格情報が空(OS のキーチェーンや資格情報マネージャーに古いものが残る)か、画面のないマシンで認証の折り返しが届かないのが原因で、課金の口を替えても直りません。

4. 捏造(嘘の完了・作話)

モデルが「プロンプトインジェクションを受けた」と思い込み、自動メモリに書いて毎セッション再発させる

モデルが、道具の出力に注入があったと作話し、それを自動のメモリに確定の事実として書き込み、次のセッション以降も読み込まれて同じ作話を再発させる、という閉じた輪が報告されています。本物の注入か作話かは、会話の記録の構造で見分けられます。

5. 相互運用(複数の道具・親子のエージェント)

サブエージェントに、あなたの安全設定が継承されない

サブエージェント(Agent / Task)には CLAUDE.md も hook もメモリも継承されない、という報告が続いています。親で効いていた安全の歯止めが、いちばん自律で長く走る子の作業ではちょうど外れている、という縦の相互運用の事故です。役割の文脈が継承されず、子が孫を生んで費用が膨らんだ報告もあります。

毎月のまとめを続けます

このまとめは月刊で続けます。今月の事故を一か所で総点検したい方、来月号も読みたい方へ。

・無料の月次のまとめ(抜粋・速報)は note の月刊まとめ(2026年6月号) で。
・毎月の最新の事故を、本の章になる前にいち早く・複数のツールにまたがって継続して追いたい方は、月額の Claude Code 安全運用便(¥500/月)。買い切りの本の無償の更新では追いつかない「速さと広さ」の速報の経路です。
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・無料の防御の hook 集は cc-safe-setup(npx github:yurukusa/cc-safe-setup)。

各事故の事実関係は GitHub の起票で共有された報告にもとづく伝聞で、私の直接の体験ではありません。対策の hook と手順は cc-safe-setup に実装し試験を通したもの、または自分の運用で確かめたものです。リンク先の自己診断は、すべてあなたのブラウザの中だけで動き、答えは収集も送信もしません。